2010年3月31日水曜日

二上山

坂根は150ミリの望遠レンズを手で回し固定させながら答えた。黒いカメラの端に赤土がついている。
「なるほど、あれか。これは真正面だ」
福原は向きを変え、平野を隔てて丘が二つならぶ西を眺めた。二上山は生駒山塊と金剛山塊の中間に、色は少しうすいが、ヒョウタンを横に半分切ったかたちの稜線を雲の多い空につき出していた。(火の路・松本清張より)

2010年3月21日日曜日

盗掘

「要ちゃん。望遠レンズでどこを撮るの?」
福原が両手をコートのポケットに突っ込み、カメラマンの手もとを見下ろしてきいた。
「二上山です」 (火の路・松本清張より)

2010年3月6日土曜日

水占

「けど」
と、長い髪の女が横から言った。
「万葉集の水占は、清き瀬ごとにとあって、川でおこなわれたのでしょう? それに伴信友は『正ト考』で水占は縄を使うものだろうと言ってますけど・・・・・・」(火の路・松本清張より)


*水占・・・他に例がなく方法はわからないが、川に縄のようなものを張って、それに引っかかる物によって吉兆を判断するのが水占だろうといわれている?
*伴信友・・・江戸時代の国学者。(1773~1846)

本日の木津川、城之越遺跡近く。


メモ/朝日文庫「邪馬台国」より、殯(もがり)について。

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