2010年3月31日水曜日

二上山

坂根は150ミリの望遠レンズを手で回し固定させながら答えた。黒いカメラの端に赤土がついている。
「なるほど、あれか。これは真正面だ」
福原は向きを変え、平野を隔てて丘が二つならぶ西を眺めた。二上山は生駒山塊と金剛山塊の中間に、色は少しうすいが、ヒョウタンを横に半分切ったかたちの稜線を雲の多い空につき出していた。(火の路・松本清張より)

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