問題は、中期と後期、晩期とのあいだにもう一度大きな文化変容があったか、ということである。土器の形式には、あきらかに力強さから繊細さへ、という変化がみられる。最晩期の青森県大洞式の磨製注口土器、細口壺などの形、文様の優美さは、そのままこんにちの一流の茶会の席に使えそうである。
縄文中期(上)から後期(下)の土器の形式には、力強さから繊細さへと移行してゆく変化がみとめられる。
上─勝坂式様式・深鉢(東京都中原遺跡)・縄文中期・高37.5㎝・都立第二商業高等学校蔵
下─大洞式様式・注口土器(青森県是川遺跡)・縄文晩期・高11.6㎝・八戸市教育委員会蔵
(本文より)