2011年6月9日木曜日

タイム・ミラーとしての台湾

 いずれにせよ、時代は千数百年ずれているが、台湾の現状は、倭国にはじめて強力な統一政権がうちたてられたころを想像させる、さまざまなヒントをあたえてくれるような気がする。日本は「統一政権」ができ上がってから、かなりなスピードで、近代以前の「国家組織化」が進み、さらに商業、工業が起こって、とくに戦後となっては、千数百年以上の過去を想像するよすがもない。しかし、台湾は、日本より、千五百年以上のちになってから、水田稲作民の移住がはじまり、本格的な「国家組織化」がはじまってからでもまだ一世紀前後である。近代化がはじまって以後の事態の進み方は、おどろくほどの急テンポではあるが、いくつかの要素を補正すれば、千数百年前の日本の姿をうつしだす「タイム・ミラー」と考えてもいいかもしれない。(本文より)

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