2011年7月30日土曜日

ゾロアスター教とは何か

 ところで、今度はゾロアスター教のほうを説明する必要がありそうである。
ゾロアスター教は一名「拝火教」ともよばれ、今から二千六百年ほど前の紀元前七世紀に、中央アジアの、カスピ海と黒海のあいだあたりでうまれたゾロアスター(ゾロアスターは英語読みで、本名はツァラトシュトラ・スピタマという)という人が、それまでのアーリア系種族の伝統的信仰から霊感を得て、つくった宗教である。一時はササン朝ペルシアの国教にまでなって栄えたが、七世紀ごろ、マホメットのはじめたイスラム教におしまくられて、ペルシアがほろびたあと急速におとろえて、今はイラン国内に五、六千人、インドでは「パールシー」と呼ばれtr、ボンベイ付近に十万人ぐらい信徒がいるだけだが、後代のキリスト教、イスラム教、マニ教などにあたえた影響は大きい。
 その教義の根本は、「善なる光の神」と「悪なる暗黒の神」の闘っている場とみなす「善悪二元論」である。この教えの説く「宇宙史」では、今は宇宙創造の時期を経て、善神悪神が地上をふくめて、宇宙のいたるところで闘っている時代だが、究極的には「最終戦争」で善神が勝ことになっている。そのときには、地上で死んだ人間はことごとく「復活」して、「最後の審判」をうけ、生前、善に味方して闘ったものと、闘いに参加しなかったり、悪に加担したものがふるい分けられ、善のために闘った魂は、「不死」をあたえられて、最終戦争に参加し、「暗黒」を完全にうちたおしたあと、善神とともに、死も苦痛もない永遠に光にみちた世界で生きる。そうでなかったものは、最後の審判でふるいわけられ、永遠に救いのない地獄におちる。(本文より)

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