赤ん坊が、無意味な喃語(なんご)から、はじめてかたことをじゃべるようになる。そのとき、当然のことながら、
日本人の赤ちゃんは「日本語」のかたことをしゃべる。──「当然のことながら」といったが、これは日本のふつうの家庭で、日本人の両親から生まれたばあいである。だから、正確にいえば、「母親や家族が、まだ口をきけない段階で、あやしていた言葉」をしゃべるようになるのだ。たとえ、日本人の両親のあいだで生まれても、嬰児(えいじ)段階でかたりかける言葉が英語だったら、最初のかたことは英語でしゃべるだろう。(本文より)