2011年10月6日木曜日

中国語から借用

 では、日本のすぐ隣の大陸ではなされている「中国語」との関係はどうかというと、この地域との関係は、歴史的にじつに深いもかかわらず、この大言語と日本語はきわめてちがったタイプの言語なのである。──語順などは、中国語はむしろ英語などにちかい。だいいち発音の系統がまったくちがう。中国語は、短音節的──つまり一語一音節的であり、そのかわり、「四声(しせい)」といって、音尾を上げたり下げたり、まっすぐしたり、「小節(こぶし)」のようにうねらせてたりして、同音でちがう意味をあらわすことが多いが、日本語でも「アクセント」のちがいはあっても、中国語ほど「声調」は重要でない(タイ語やベトナム語は、この「声調」が六種も八種もあって、その意味では、中国語とにている)。
 こんなにちかくあって、歴史的関係も深いのに、こんなに系統のちがうのもふしぎだが、にもかかわらず、日本人が「同文同種」と錯覚してまで親しみを持ったのは、「漢字」「漢語」を大量に、中国から借用したからであろう。──日本は中国から「文字」を大量にとりいれて、「万葉仮名」のように日本語の表記につかい、つづいて漢字を簡略化して、あっという間に、表音式の「日本文字」をつくってしまった。日本の「仮名」の成立は、九世紀ごろとみられ、中国周辺の、非中国系諸族のあいだでもかなり早い時期に属する。朝鮮で固有表音文字のハングルができたのは、十五世紀ごろである。──そのうえ、日本では、文法のちがう「漢文」に、返り点やふり仮名をつけて「日本文」として読むやり方まで発明した。「遠上寒山石径斜」を「*******」(*は下図参照)といったぐあいである。(本文より)
 (wordで作成したがうまくいかない)
(本文よりスキャン)

フォロワー